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脱気・給気入門
液体中に存在する気体(O2やN2)を除去することです。
解説
目に見えなくても、空気と触れる液体には、空気の成分である窒素や酸素といった気体が溶け込んでいます。このような液体中の気体は、ときに配管の錆びなど、様々な問題を引き起こします。こうした現象はあらかじめ脱気をすることで防ぐことが出来ます。
私たちが目にできる気泡は、液体に加わる圧力が下がったり、温度が上がったりすることによって、液体中に溶けきれなくなって現れたものです。液体中の気体は、ときに装置に悪影響を及ぼすことがあります。
- ※用途に関する詳しい情報は「その問題!脱気・給気で解決できるかも!」をご覧ください。
溶媒中に気体(O2、N2、H2、CO2、etc)を選択的に溶解させることです。
解説
給気は、脱気とは逆に、液体中に気体を溶かし入れることです。選択的に目的の気体を給気することで、液体に機能を加えることができます。
給気技術が役立っている身近な例では、炭酸水があげられます。炭酸水は、炭酸ガス(二酸化炭素 CO2)を飲料水に給気することで、シュワシュワとした食感を加えています。
気相と液相の界面を広くすることが有効的です。
脱気・給気の基本原理
「液体に溶ける各気体の量は、気体側の圧力に比例する」という法則があります。(ヘンリーの法則) この法則を言い換えると、液体と気体が接している場合、気体側の圧力を下げれば、液体に溶けている気体の量が減少することになります。ですから究極的には、気体側の圧力を0(真空状態)にすると、液体に溶ける気体の量も0になります。
性能を上げるには?
液体と気体が接する面(界面)が広ければ広いほど効率的な脱気ができます。ただし、単純に界面を広くすることを考えると、大きな空間が必要になります。すると、脱気するための装置自体が大きくなってしまいます。また、脱気に時間がかかることは、液体の変質の観点から見ても好ましくありません。
それを解決する手段の一つに、SEPARELのように中空糸を用いて脱気・給気する方法があります。中空糸を用いることで液体と気体の界面増大に寄与する他、脱気に要する時間短縮も実現できます。
脱気を行うにはいくつかの手法があります。
減圧法
「脱気・給気の基本原理」を参照ください。
加熱法
加熱脱気方式
液温上昇により、溶存気体の溶解度を減少させて気体を除去する方法
デメリット
- 液体組成の変動を伴う。
薬品を使用する方法
薬品方式
薬品と溶存気体を反応させて除去する方法
デメリット
- 除去する気体に選択性がある。
タンク方式
タンク内を減圧し、液体中の気体を除去する方法
デメリット
- 気相と液相の界面が小さく、脱気に比較的時間を要する。
真空脱気塔方式
噴霧した液体を脱気する方法
- 微粒子化による表面積増大。
→ 液体と気体の界面増大。 - 汚濁粒子を含む液体にも適応できる。
デメリット
- 設置コストが高い。
- 装置が大型になる。
中空糸を膜に採用するメリット
- 省スペースに大きな境界面積を得られる。
- 液体を流しながら脱気することで、液体中の気体を拡散させることができる。
- インライン、ワンパスで脱気できる。
- 設置コストが安い
- 窒素置換方式を組み合わせることも可能
DICの膜脱気方式
弊社で使用している膜はストローのような中空糸膜を採用しています。ストローの空洞と筒の外で脱気を行う形状です。
- ※詳しくは「SEPARELの強み」をご覧ください。
膜を使用する物質分離というと、ろ過膜を連想する方もいるかと思いますが、両者は異なる特性を示します。以下に違いを示します。
DIC脱気膜
- 非多孔質膜には目に見えない「孔(あな)」も存在しない(DIC独自の技術)
- 液体は通さず、素材自体の気体透過性能によって気体のみを通すことで脱気を実現する。
ろ過膜
- 多孔質膜には無数の小さな「孔」がある。
- 液体は通すが、一定以上の大きさの固体(粒子や菌類)を分離する。